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Ginza

おすすめの本「道を継ぐ」

March 27, 2017

Ginza

Author
minxginza

こんにちは、土屋サトルです。


今日はこちらの本をおすすめします。





MINX創業者にして取締役会長「高橋マサトモ」さんの奥様で、ミンクススタッフの心の母こと『鈴木三枝子』さんを題材にした書籍「道を継ぐ」です。


日本唯一のヘアライター「佐藤友美」さんがお書きくださり、「ミネシンゴ」さん主催のアタシ社という出版社から発行されました。


鈴木さんは今から8年前の2008年7月19日、スキルス性胃がんという病魔によって、49歳という若さでそのお姿が見えなくなりました。


その日のことは今でも忘れられません...。


暑い日でした。


岡村さんのカットレッスンに参加するため原宿店に集まった僕たちを前に、岡村さんが重い口を開いて「...昨日の夜、鈴木さんが...」と言ったきり、大粒の涙を流されて...。


訳もわからず呆然とする僕たちに、岡村さんは目に涙を溜め、歯を食いしばりながらレッスンをしてくださいました。


その日を遡ること1年弱、当時下北沢E店の店長だった僕と他の店舗の店長全員は突然お休みの日にセントラル店に集められました。


「お前らに、ブローを1から叩き込む!」


と、一年目に教わる基礎のウィッグブローを教えて頂きました。


それはもう厳しく、「風を当てる場所が違う!」とか「ブラシの回転がなってない!」と言って何度もやり直しをさせられ、「姿勢が悪い!」とジャケットの肩の部分に定規を入れられ「背筋を伸ばしてブローしろ!」と...。


いや、なんでこんな事を今さら...と思いましたが、僕はアシスタント時代に鈴木さんに教わったことがなかったので嬉しくて、毎回楽しみでした。


そしてそのうち、「営業前の時間にアシスタントのレッスンをする!」と毎月何日か、朝練習をしてくださるように。


当然僕も参加させて頂き、厳しく指導されて泣きそうになってるアシスタントたちと一緒に、基礎技術の「何故そうするのか」「そうすることでどのような効果があるのか」を教わりました。


ある日、予定の時間になってもいらっしゃらない鈴木さんをみんなで待っていました。


30分以上遅れていらっしゃった鈴木さんは息をきらせて「ごめん、銀行が混んでいて...」と。


今考えるとこの頃の鈴木さんはかなり病状が悪化されていたはずで、おそらく予定の時間に来られないほど体調が悪かったのでしょう...。


でも、到着されてからはいつものテンションで「お前ら、そんなんでお客様に喜んで頂けると思ってるのか!」なんて、体調の悪さを全く感じさせないキレッキレのレッスンをしてくださいました。


ですが、それから鈴木さんのレッスンは無くなってしまいました。


その日からしばらくして、前述の日を迎えます...。


この「道を継ぐ」の中でも記述がありますが、鈴木さんのブローは素晴らしい技術で、ご主人の高橋さんですら「ブローは鈴木さんに教われ」とおっしゃるほどでした。


鈴木さんが、どんな想いでそこまで技術を磨かれたか、それはもうシンプルに「お客様の為」です。


同じ想いでお客様を担当するスタッフを育てるべく「継いで」くださったのでしょう。


他にも鈴木さんのエピソードは沢山ありますが、とにかく太陽のように眩しくアツい人で、近づきすぎると火傷するけど、でも周りにいる人間を暖かな心で包んでくださるような...。


サロンに立っていると他のスタイリストのお客様が「あの方は誰?」と必ず聞かれるような眩しい方...。


実際僕が新人の頃、パーマのロッドを渡すヘルプをしている際に、あまりのスピードについて行けずチグハグな事をしていると、お客様の前で「お前、何やってるんだ!」なんて厳しく叱られたのですが、そのお顔は笑ってらっしゃるんですよね。


それを見てお客様もまた笑顔で(^-^)


あ、こんな事もありました。


スタッフルームで食事をしていると鈴木さんが入っていらっしゃって、隣で作業をされていたのかな。


僕が「お先に食事を頂きました」と席を立ってスタッフルームを出ようとすると「ちょっと待て!」と首根っこを掴まれて。


「お前、自分が食べた後、テーブルを拭いたか?次に食べる人が嫌な思いをするだろう、そんな事常識だろう!」と...。


正にお母さんのようなお叱りを受けたのですが、もし僕が外部で同じ事をした時に、恥ずかしい思いをしないようにとの想いからのお言葉だと思います。


そんなお方でした。


高い山をフルスピードで駆け登っている最中でも、足元の小さな花に気付かれるような。


そんなお方でした。


鈴木さんのお言葉


『美しさの原点は、正しい生き方ときれいな心から生まれる』


正にそんなお方でした。


そして、


『人は命が尽きたときに死ぬのではない。誰にも思い出してもらえなくなったときに、初めて死ぬのである』


そんな言葉があるそうです。


鈴木さん、圧倒的に生きてます!


今でもあの弾けるように明るい笑顔が目に浮かび、張りのあるお声が聞こえてくるようです。


当時の鈴木さんを知っている人にも、知らない人にも、ベテランの美容師さんにも、新人のアシスタントさんにも、美容師さんでない方にも、ぜひお読み頂きたい。


Amazonや代官山蔦屋など全国の書店で購入できます。


佐藤友美さん著「道を継ぐ」Amazonへのリンク


佐藤友美さんのブログ


ミネシンゴさんのTwitter

@minesingo


長文を最後までお読み頂きありがとうございます。


僕の拙いブログより、素晴らしい文章をぜひ☆